「昨年は渋沢栄一のホワイトカードが出たから、今年は福沢諭吉のホワイトが実装されるはず」という謎の確信を抱きながら、福沢諭吉に関する本を読み直しています。
岩波文庫の「学問のすすめ」もあるはずなのですが見つからない。多分どっかにしまってあるはず。
写真右下の、平山 洋さん著の福沢諭吉の伝記はミネルヴァ書房出版で3千円くらい。
図書館で読んですごく気に入ったので購入しました。
中学一年生の夏休みの時に、伝記にハマった
私が中学一年生の今くらいの時期に、読書感想文を書くために図書室で本を探していました。
本当は福沢諭吉の伝記を読みたかったのですが見つからず、代わりにお札繋がりということで夏目漱石の伝記を借りました。
(当時は千円札の肖像は夏目漱石でした)
最初は適当に読んで早く宿題を終わらせてしまおうという気持ちで読んだのですが、これがドハマりしてしまいました。
夏目漱石が蝿のような小さな文字を書いて勉強したとか、ノイローゼに苦しめられたとか。それはもう魅力的(?)なエピソードに心を打たれました。
クーラーのない部屋で汗をかきながら夢中になって貪り読む私。
時間を忘れて夢中になって本を読んだのは、おそらく人生でこの時が初めてだったと思います。
今でもあの時の本をもう一度読み返したいとは思うのですが、著者名も出版社も覚えておらず、きっと私が読んだあの本はもう絶版になっていると思います。
福沢諭吉の話をするつもりが夏目漱石の話になってしまいました。
とにかくそういうわけで今も伝記には特別な思い入れがあります。
天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず(→だから勉強で差が付くよ)
福沢諭吉は小士族の家に生まれで、幕府の役人や大名が威張り散らしているのがとにかく我慢ならなかったようです。
「学問のすすめ」の冒頭でも、人間は学ぶか学ばないかによって雲泥の差と呼ぶべき違いが生じるんだと言っていますね。
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」という超有名な一文は誰しも聞いたことがあると思いますが、「学問のすすめ」を読んだことのない人は「だから人は平等なんだよ」という意味だと勘違いしてしまっているかもしれません。
この文には続きがあり「でも実際は、賢い人や愚かな人、貧しい人や金持ちの人、社会的地位の高い人や低い人がいるよね。その差は学ぶか学ばないかによってできるんだよ」というのが福沢諭吉の教えです。
だから本のタイトルは「学問のすすめ」であって「平等のすすめ」ではないのです。
ワンダーベルト
福沢諭吉の逸話では「ワンダーベルト」が個人的に好きです。
緒方洪庵が福岡藩主である黒田長溥から「ワンダーベルト」という原書を借りてきました。これは最新の英書をオランダ語に翻訳した物理の本で、特に「エレキテル」のことについて詳しく書いてあったそうです。
しかし本を借りられる期間が二晩三日しかない。
黒田候はこの一冊を80両で買い取ったそうで、貧乏学生だった福沢諭吉らにはとても手が出せない。
そこで最後のエレキテルの部分だけでも書き写そうという話になりました。
破って全員で分担すれば全ページ写本できるかもしれないが、大切な黒田様の蔵書を壊すわけにはいかない。
そこで一人が原書を読み、一人はこれを聞いて書き写す。疲れたらすぐ他の者が交代し、二晩三日の間に一切の休みなく時間の許す限り書き写すという作戦に出ました。
その結果、エレキテルのところのみならず図もキッチリ写してしまい、紙数はおよそ150~160枚くらいにのぼったそうです。
ちなみにワンダーベルトというのは書名ではなく、作者名に由来したものだったそうです。