逆境を乗り越える技術
佐藤優と石川知裕の対談本「逆境を乗り越える技術」を読みました。
前半で、うつ病についての対話があります。
うつ病は誰でもなりう得るものなので、うつになったらどうすればいいかを知っておくことは誰にとっても重要です。
うつ病について
- 「うつっぽい」と思ったらすぐに医者に行って、とにかく体調を整えること。
- 他人と自分のキャパシティは絶対同じではない。自分の感覚で「キャパ越えしそうだな」となったら、自らスッとその場から引くこと。
- よく、うつ病の人に「がんばれ」と発破をかけるのはよくないと言うが、それは同調圧力、つまり「俺がこんなにやっているのだから、お前もやれ」ということ。うつ病の場合は、同調圧力から離れることが重要。
- うつ病から復帰している人は、完全な状態に戻れてはいない。本当に社会復帰している人というのは、昔よりも仕事量を20%くらい落としている。
「がんばれ」という言葉に要注意
マルクスが『資本論』の中で論じている「分業」と「協業」についての話が出てきます。
個々がバラバラにやる「分業」よりも、同じ場所で一斉に仕事させる「協業」の方が効率が良くなる。
なぜかというと、競争心が芽生えて一生懸命仕事するからです。
だから資本主義は人を集めてみんなで仕事をさせる。
学習塾の受験勉強システムと同じです。
資本主義というのはそういう風に労働者をどんどん競争させて、成果(高い利潤)を出そうとする。
だから労働者が身体を壊しても、会社は全然気にしない。
身体を壊しても見捨てられるだけ。「いい人だったのにね」で終わっちゃう。
だから「がんばれ」という言葉は注意が必要で、がんばり過ぎてはいけないのです。
うつ病が発症したら――これは例えば慢性腎臓病でも緑内障でも一緒ですが――機能が完全に戻ることはない。
われわれは年齢を重ねていくのだから、体力だってなんだって衰える。
それを素直に認め、病気だったらより衰えるのだから、それもだましだましくらいで初めはやっていって社会できちんとした仕事ができるぐらいを目標にしておく。それくらいが良いのかもしれません。