ドラクエⅡの思い出
私が初めてドラクエⅡをプレイしたのは、4歳か5歳くらいの時でした。
さすがに幼稚園児にドラクエは早すぎたようです。
当時の私にはまだ「装備」という概念が理解できませんでした。
武器なしの素手で冒険に出かける勇者。
モンスターとの遭遇。
勇者の攻撃。「ダメージをあたえられない!」
全滅。
何度プレイし直しても、モンスターに遭遇すると全滅してしまいます。
私はドラクエⅡをそっと引き出しにしまいました。
~糸冬~
リベンジ
その後、数年の時を経て、私は「ドラクエⅡ」にリベンジするチャンスに恵まれました。
私の自宅のファミコンはもう壊れて動かなくなっていましたが、友達の家に、まだ動くファミコンと、ドラクエⅡのソフトが残っていたのです。
また冒険に出られる。
そして今度こそ「装備」を整えて、敵と戦える!
さらに今回はゲームの予習も完璧でした。
「ドラクエ四コマ漫画劇場」というギャグマンガを読んでいたので、キャラクターの特徴や呪文などをしっかり理解していました。
しかし、ここでも一つトラブルが発生しました。
ファミコンのAボタンの反応がすごく悪かったのです。
「ぎゅううううぅぅ」っと、思いっきり強くAボタンを押さないと反応しません。
ドラクエでは最初に勇者の「名前」を決めます。
ここが最初の難関でした。
Aボタンが押せないと名前を決定できないのです。
ぎゅううううぅぅ。
勇者の名前は「あ」に決定しました。
「あ」と入力するのが精一杯でした。
ドラクエⅡは、勇者と王様の会話シーンから始まります。
王様に「魔王を倒してこい」と命令され、装備を渡されて、城を出てモンスターと戦うという段取りです。
王様「勇者【あ】よ。どーたらこーたら・・・」
ここが第二の難関でした。
Aボタンを押さないと王様の話が進まないのです。
友達と代わりばんこでAボタンを押しました。
ぎゅううううぅぅ。
会話を進めるのも一苦労です。
「王様の話なげーよ!」
王様といい、全校集会の時の校長といい、どうして大人の話というのは長いのでしょうか?
やっとの思いで会話が終わり、いよいよ冒険です。
城から出て、モンスターと戦います。
しかしここでトラブルが。
装備してくるのを忘れました。
「王様の話なげーよ」と友達と愚痴りあっていたら、装備を整えるのをうっかり忘れていました。
勇者の攻撃。「ダメージをあたえられない!」
全滅。
私は幼稚園児の時の失敗を活かせませんでした。
王様「しんでしまうとは なさけない」
ええい、じゃーかしい!
今度こそ装備を整えます。
武器を選択。Aボタンを押します。ぎゅううううぅぅ。
防具を選択。Aボタンを押します。ぎゅううううぅぅ。
我々の親指はもう限界です。
ずいぶん長いこと冒険をしているような気がします。
でもまだ最初のお城から進んでいません。
装備を整え、城から出て、モンスターと戦います。
勇者のこうげき!
モンスターにダメージを与えることに成功!
これは大きな前進です。
私はもう装備の仕方が分からない幼稚園児ではない。
過去のリベンジを果たすことに成功しました。
しかしもう親指に力が入りません。
かれこれ1時間くらいプレイしています。
なんせAボタンを1回押すだけで数分かかりますから。
私は友達に感謝しました。
ドラクエⅡを再びプレイさせてくれてありがとう。
私は満足して友達の家を去りました。