いじわる魔女の猫

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「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を読みなおす

「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」

今回は名著「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を改めて読みなおしました。

本屋さんに行くとほぼ必ず置いてある本です。読んだことある人もいると思います。

この本が伝えていることは主に以下のようなことです。

  • AIが人間の能力を超えてシンギャラリティが来ることはない
  • 10年から20年の間に、ホワイトカラーの50%くらいがAIに職を奪われる
  • 日本の中高生の読解力は教科書の記述を正確に読み取れないほど危機的状況にある

AIが人間の能力を上回ることはない

「AI」とはartificial intelligenceの略で、人工知能です。

コンピューターは人間のような知能を持っていません。人間の知能の原理を数学的に解明することも、人間の知能を観測することもいまだ全くできていません。

したがってAIは「まだどこにも存在していません」。

遠い将来はともかく、近未来に人工知能が誕生することもありません。

「AI」という言葉と「AI技術」は混同して使われがちです。

私達が普段AIと呼んでるものは、正確にはAI技術です。AI技術とは、AIを実現するために開発されている技術のことです。

私達にとってAI技術は身近なものであり、我々はAI技術を「AI」と気軽に呼んでいます。

そのため実際にはまだ存在していないAIがすでに存在している、もしくは、近い将来に登場するという思い違いが生じています。

シンギャラリティは来ない

本書ではシンギャラリティの意味を「どこかの分野で人間の能力を超える」地点というような曖昧な意味ではなく、「真の意味でのAI(人工知能)」が自分自身よりも能力の高いAIを作り出すようになる地点という意味と定義しています。

今のところ、数学で数式に置き換えることができるのは、理論的に言えること、統計的に言えること、確率的に言えることの3つだけです。

そして、私たちの認識をすべて理論、統計、確率に還元することはできません。

したがって今のAIの延長では「真の意味でのAI」ができるはずがなく、シンギャラリティが来ることもありません。

AIは神に代わって人類にユートピアをもたらすことはないし、その能力が人智を超えて人類を滅ぼすこともありません。

そういう意味では私たち人間の出番はまだまだあるといえます。

しかし問題は、ただの計算機に過ぎないAIに代替されない人間が、今の社会の何割を占めているかということです。

ホワイトカラーの半数がAIに職を奪われる

オクスフォード大学の研究チームは、702種に分類したアメリカの職業の約半数が消滅し、全雇用者の47%が職を失う恐れがあると予測しています。

日本でも近い将来、著者の予想では10年~20年の間に、働く人々の半数が職を奪われるかもしれないと言います。

本書が出版されたのは2018年なので5年前です。つまり、あと5年~15年の間に大量の失業者が発生するということです。

「おじいさんのランプ」という児童文学があります。おじいさんはランプを売る商売をしていましたが、村には電気がひかれ、ランプは売れなくなってしまいます。

発明や新しい技術の登場によって仕事がなくなることは、今にはじまったことではりません。これまでのイノベーションがそうであったように、AIの登場で消えていく仕事があったとしても、新たに生まれる仕事もあると楽観的に考える人も多いです。

しかし今までのイノベーションはそれぞれが一部分の人々の仕事を奪っただけでした。AIは勤労者の半数から仕事を奪うことが予想されます。規模が違うのです。

ホワイトカラーの職があと5~15年の間に半減するというのは、途轍もないことです。AIは経済や労働環境に破壊的な影響を及ぼし得る可能性があります。

AIが最も苦手なのは読解力

AIによって仕事を失ったとしても、人間にしかできないタイプの知的労働、人間にしかできない仕事に従事する能力を備えていれば、生き延びることができるでしょう。

著者の新井紀子教授は2011年に「ロボットは東大に入れるか」と名付けた人工知能プロジェクトを始めました。

著者を含めたプロジェクト関係者の中で、AIが東大に合格できると予想する人は一人もいませんでした。10年計画のプロジェクトでしたが、結果は予想通り、ある程度まで成長したものの東大合格の水準には達しませんでした。偏差値は60程度まで上昇したそうです。

成績が良かったのは世界史や数学。苦手だったのは英語と国語でした。

読解力こそが、AIが最も苦手とする分野でした。

3人に1人が簡単な文章を読めない

ところが日本の学生の読解力は深刻な状況にあるのではないか、という疑問を著者は抱きます。

そこで全国2万5000人の基礎的読解力を調査するためのリーディングスキルテスト(RST)を開発しました。

「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトでAIに読解力をつけさせるための研究のノウハウがありましたので、これを応用して人間の基礎的読解力を判別するために開発したテストがRSTです。

その結果、3人に1人が教科書レベルの簡単な文章を読むことができないという信じられないような結論が導き出されました。

  • 読解能力値と進学できる高校の偏差値との相関は極めて高い
  • 読解能力値は中学生の間は平均的に向上する
  • 貧困は読解能力値にマイナスの影響を与えている可能性が高い
  • 通塾の有無と読解能力値は無関係
  • 読書の好き嫌い、科目の得意不得意、1日のスマホ利用時間や学習時間などと読解能力値には相関がない

意外だったのは、読書習慣と読解力との相関が見当たらなかったことです。

だったら読解力を養うにはどうすればいいのか?

残念ながらそれを解明する科学的な研究は今のところありません。

読解力を上げる方法がないわけではないようです。

ただ、読解力の向上にはダイエットのような簡単な処方箋はなさそうだと著者は言います。

もしかすると、多読ではなくて、精読、深読に、なんらかのヒントがあるのかもしれない。また、年齢に関わらず、いくつになっても読解力を養うことは可能だというのが著者の仮説です。

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