『離れたくても離れられないあの人からの「攻撃」がなくなる本』を読みました。
この本は、
- いつも配偶者や恋人から人格を否定される
- 上司に怒鳴られたりパワハラを受けている
- いじめのターゲットにされている
といった、身近な人間からの攻撃を受けている時、具体的にどう対処すればいいかについて書かれた本です。
話の通じる相手ではないことを理解する
まず、「いつも攻撃を受けている状態は異常事態である」ということを認識する必要があります。
そんなこと当たり前では?と思うかもしれませんが、要は話が通じる相手ではないということです。
いつも攻撃される原因は2つあると著者は言います。
- 相手があなたのことを「弱い」と見なしている
- 相手があなたのことを「有害」と見なしている
弱いから、攻撃しても大丈夫。有害だから、攻撃する必要がある。それが相手の思考パターンです。
いつも攻撃してくる人というのは攻撃欲が強い人間であり、単なる八つ当たりで攻撃しています。
嫉妬心や子供じみた甘え、説明のつかない不快感、差別意識などによって、ただムカつくから攻撃しているだけです。
だから説得して理解してくれる相手ではないんです。
また攻撃によって、あなたを支配下におきたいというタイプの人間もいます。支配タイプの人間は、単なる八つ当たりタイプの人間よりさらに厄介です。
著者は「相手の攻撃欲を徐々に萎えさせる方法」を勧めています。
大切なのは相手に無関心になること
必要なのは「我慢」ではなく「無関心」だと著者は言います。
相談者の方に「ご主人に無関心になってください」と言うと、「もう無関心ですよ」と返ってくることがあります。ところが、その後に「いつ死んでもいいと思ってますから」なんて言葉が続く場合も少なくありません。
「いつ死のうが、100歳まで生きようが、どうでもいい」と言うのなら無関心ですが、「いつ死んでもいい」は、非常に強い憎悪の表れです。無関心どころか、おそらく一般的な夫婦関係以上に、関心があるということです。
ただし無関心になるのは相手の存在に対してだけで、相手が自分に実害を及ぼす部分には、冷静に冷徹に対処しなければいけません。
それには反応を減らす(反応をゼロにするのではなく、最低限に減らす)ことが必要です。
- 無視ではなく寡黙な人として関わる。沈黙を積極的に利用する。
- 基本は沈黙、発言するなら短く、穏やかに言い切る。
- 怒鳴られたりネチネチ攻められてもへりくだったりせず、適当なところで「そうですね」と言って会話を終わらせる。
- こちらにも非がある場合でも、おびえた態度で謝ったりたりしない。「申し訳ない」という気持ちではなく「無念である」という態度で淡々と謝る。
- 必要以上に報連相をしない。情報共有は必要最低限にする。「マスクをする」というのも「表情」という情報を与えないという点で有効。
目的は自分の人生を取り戻すことであって、復讐することではない
たとえば、夫の嫌いなものを夕飯に出す、洗濯物を何日も放置する、上司や同僚を無視する、といった仕返しをしてはいけません。
なぜならそういったあなたの行動や態度によって、相手の目に映るあなたの有害性は倍増し、かえって正々堂々と攻撃する理由を与えることになるからです。
相手に憎悪を抱き、一矢報いてやりたいという気持ちが抑えられない気持ちは分かりますが、そんなことをしたら相手の攻撃性はますます増すばかりか、自分の人生の目的を見失うことにさえつながります。
攻撃のターゲットにされる人というのは、ひとつの場所や人に依存する傾向が強いそうです。いつも攻撃され傷ついているのに、心のどこかで相手が拠り所になってしまっている。
「結局、自分はどうしたいのか?」ということを常に考え続けなければいけません。
相手の影響下から抜け、相手に依存せず、一人の人間として生きる、単独者として生きるんだという心構えを持つ覚悟が必要です。